【2018年12月22日】ミュージカル"Hadestown"(ヘイディズタウン)観劇
[Saturday]
クリスマス休暇の始まり。
日中はのんびり過ごし、夕方は言語交換でお世話になっているロッドさんのお誘いを受けてナショナル・シアターにミュージカル"Hadestown"を見に行きました。
Welcome to #Hadestown. pic.twitter.com/PAqdl1iOlx
— Hadestown (@hadestown) 2019年4月17日
17:00
ナショナルシアターがクリスマスカラーになってた🎄
ロッドさんと待ち合わせた後、館内の1階カフェで軽く夕食。
注文したのは、(名称は忘れたけど)薄切りしたトーストにアボカド、トマト、マッシュルーム、ほうれん草がトッピングされたメニュー、£9。量は控えめだけど美味しいです。
食事の間、ロッドさんが「これ知ってる?」と見慣れないコインを見せてくれました。
現在では流通していなさそうなコイン。すると「ファージングって言うんだよ」と教えてくれました。
先日芝居に誘ってくれたお父さんが古いFarthingコインを見せてくれて、クリスマスキャロルの"Christmas is Coming"の歌詞を教えてくれたんだ。
— ミウモ 𝕄𝕖𝕨𝕞𝕠 (@notfspurejam) 2018年12月24日
"If you haven’t got a penny, ha’penny’ll do, if you haven’t got a ha’penny a farthing’ll do, if you haven’t got a farthing, God bless you!"
「貧しい人に1ペニーなければ半ペニーあげよう、半ペニーなければ1ファージングあげよう、1ファージングなければあなたに幸運を!」という歌。
— ミウモ 𝕄𝕖𝕨𝕞𝕠 (@notfspurejam) 2018年12月24日
1ポンド=20シリング=240ペンス=960ファージング。
「1ポンド=4クラウンで1クラウンが5シリング…」って解説が果てしなく続いて行きそうだった。
ロッドさんはこの「1ポンド=20シリング=240ペンス=960ファージング」の計算をA4の紙を縦にして書き連ねてくれたのですが、途中で頭が混乱してしまいました。
もちろん、計算を理解させようとしたわけではなくて、クリスマス・シーズンに歌を教えただけなのですが。
日本だと価値的には「銭」や「厘」のような? ただ、5銭、10銭銅貨は1940年頃まで使われていたそうなので、それよりは最近まで使われていたことになりますね。使われなくなったタイミングだけでいえば、古い100円玉くらいの感覚かな。
もちろんこれは1970年(十進法移行)までの通貨単位。
— ミウモ 𝕄𝕖𝕨𝕞𝕠 (@notfspurejam) 2018年12月24日
例えば現代でホームズ譚を読んでるとシリングの価値のイメージがつきにくいですよね。でもこれで覚えられると思う。
ちなみに「四つの署名」の頃のワトソンの1日の年金が11シリング6ペンス、貸しボート屋の子供がホームズにねだったのは2シリング。
19:00
夕食を済ませて、開演まで少し時間があったので、館内にあるWolfson Galleryで"Playing with Scale"という、舞台美術家による縮尺模型についての展示を見て回りました。私、舞台や劇場の縮尺模型を見るのが大好きなのです!
今回は見る時間が10分強ほどだったので、ここはまた後日見に行きました。
↓オンライン上でも展示された作品や制作者の動画を見ることが出来ます。
19:30
さて、"Hadestown"です。
FOURTEEN @TheTonyAwards nominations for our friends @hadestown!
— National Theatre (@NationalTheatre) 2019年4月30日
Congratulations everyone!
📸 @HelenMaybanks pic.twitter.com/tJPpKIK4oY
このミュージカルは、オルフェウスとエウリュディケの神話を基にした作品でオフBWで上演されたのちにこのロンドンでの公演も実現し、2019年のトニー賞も受賞しています。
私は当時、ナショナル・シアターでポスターは目にしていたものの、誘われるまではストレート・プレイかと思っていて、ミュージカルであることすらも知りませんでした。
劇場に来てロッドさんにギリシャ神話がモチーフになっていることを知り、キャストを見て、留学前に見ていた「ミス・サイゴン 25周年記念公演 in ロンドン」でキム役を演じていたエヴァ・ ノブルザダがヒロイン役で出演していることも知りました。
Hadestown to release new Broadway cast album following run at National Theatre https://t.co/SDL0DsOm9C pic.twitter.com/rgNXACpjtc
— WhatsOnStage (@WhatsOnStage) 2019年4月24日
Hadestown: The Myth. The Musical. (Original Cast Recording) [Live]
簡単なあらすじは、大恐慌時代のアメリカのような死にかけた街で、夢想家なミュージシャンのオルフェウスと孤独で貧しいエウリュディケが出会い結婚。オルフェウスは彼女に苦労させることはないと誓います。
春の女神であるペルセポネが夫ハデスの支配する地下の「ヘイディズタウン」へ戻ると地上は冬になり、オルフェウスとエウリュディケの暮らしも厳しくなり、2人の心はすれ違い始めます。
そして、飢えたエウリュディケは、「ヘイディズタウン」の住民を探しに地上へ出たハデスと遭遇。「ヘイディズタウン」へと誘われると、過酷な労働を強いられることを聞き知っているにも関わらず、彼に付いて行ってしまいます。
後見人のエルメスからエウリュディケが地下に行ってしまったことを知ったオルフェウス。しかし、地下へ行く列車がないため、ヘルメスに抜け道を教わり、地下へと向かいます(ここまでが第一幕)
オルフェウスはなんとか地下にたどり着き、エウリュディケを見つけますが、ハデスが現れ阻まれてしまいます。絶望するオルフェウスが歌を歌うと、地下で働く労働者だけでなくペルセポネも感動し、夫のハデスを説得。その歌で妻への愛を思い出したハデスは、オルフェウスに1度きりのチャンスを与えます。
それはエウリュディケを従えて2人だけで地上に向かう許可だったが、道の途中でエウリュディケが無事についてきているか確認するために振り返ってはならない、と言うものでした。
結末は… 神話に詳しかったり、映画や舞台や映像作品をよく見ている人ならすぐわかると思います。
“Wait for Me”って曲が一番好き。オルフェウスが地下に行ってしまったエウリュディケを追う曲。
— ミウモ 𝕄𝕖𝕨𝕞𝕠 (@notfspurejam) 2018年12月23日
揺れる電球💡やセットが分かれて地下世界が現れる演出も良かったんだよね。
狂言回しのヘルメスのオリジナルキャストが「This Is Us」のクリス・サリヴァンだって今気づいた!https://t.co/GnNH54Eu97
↓物語がアニメになっててわかりやすい!
"Hadestown"の劇中音楽はどれもパワフルで好きでしたが、特に狂言回し役のヘルメスと一緒にいる3人の女神がコーラス隊として歌うのがかっこよかった。
エウリュディケに地下世界に行くよう促す"When the Chips are Down"って曲が特にお気に入り。
誘ってくれたお父さんは”Why We Build the Wall”という曲が、明らかにトランプを想起させて面白いと言ってました。
— ミウモ 𝕄𝕖𝕨𝕞𝕠 (@notfspurejam) 2018年12月23日
でもこの曲自体は10年以上前に書かれたものだそうで、突然特別な意味を持つようになったんですね。https://t.co/HL2TNmSYfZhttps://t.co/vVhxti4UfG
当時、アメリカーメキシコ間の不法移民取り締まりのための「壁」を作ろうとドナルド・トランプがゼロ・トレランス政策を始めていたので、もうハデスがトランプにしか見えない歌になってしまってました。
↓字幕設定をすると日本語訳の歌詞も見られます。
ところでハデス役は超低音ヴォイスのパトリック・ペイジが演じていたのですが…
本当に失礼を承知で書くのですが、どうも私は低音ヴォイスが苦手らしく、彼の歌声やセリフを聞くと、車に酔ったような気持ち悪さに襲われてしまうことに気づきました。
悪意は全くないのです。むしろ克服したいのですが、聞くたびに首の後ろが重くなるような嫌な気分になってしまって、なるべく聞かないようにしています。
本当に申し訳ない。ハデスでトランプを連想するせいかもしれないけど。
でも低音酔いなんてあるのかな… 楽器のベースの音やバスドラの音は好きなのに。自分でも不思議です。
そんなわけで、音楽的にはとってもとっても好みなのですが、気分が悪くなる部分もあったりする、自分にとっては複雑な作品でした。
↓作曲家
NTのクリスマスツリー撮るの忘れちゃったな…。
— ミウモ 𝕄𝕖𝕨𝕞𝕠 (@notfspurejam) 2018年12月23日