【2018年12月30日】冬のキュー・ガーデンズ
[Sunday]
風邪だからといって家に引きこもっているのはあまりにも寂しいので、
今まで行く機会がなかった王立植物園キュー・ガーデンズへ足を運びました。
ウェストミンスターからはテムズ川でリバーバスを使って来ることもできますが、
私は地下鉄ディストリクト線を使ってキュー・ガーデンズ駅で降りました。
12:50
おそらく同じ目的で下車する人多数。
駅の周辺は小さな店が並んでいて落ち着いた雰囲気です。
駅から入口(ヴィクトリア・ゲート)までは徒歩10分弱であっという間。
入口は幾つかあり、リッジモンド駅から来た場合はライオン・ゲート、
水上バスで来た場合はエリザベス・ゲートが最寄りになります。
クリスマス・シーズンはライトアップイベントChristmas at Kewがあり、
通常の日中の入場とイベント時間の入場が分かれています。
日中は3:30pmまで、夜間は4pmから10pmまで。
夜間まで待つと帰りが遅くなってしまうので、日中のチケットを購入しました。
一般で£14.50(当時)。学割(国際学生証の提示)は£6.00程のはず。
(私はNUSを作っていませんでした。それほど活用できると思っていなかったので…)
キュー・ガーデンズは、ジョージ3世の母君プリンセス・オーガスタが庭師に作らせたのが起源の王立植物園。
私が秋に見に行って、このブログでもなんども触れてきた舞台「英国万歳!」にもジョージ3世の療養先として登場します。
(その屋敷であるキュー・パレスは冬季は閉鎖されているので、今回は訪れていません。春に再度来た時に見に行ったので、今度また触れることになります。)
実際行ってみてよくわかりましたが、とにかくキュー・ガーデンズは広い!
1日で全てを見て回ることは難しいです。
キュー・エクスプローラーという巡回バスが走っているので、
うまくつかまえれば効率良く見て回ることも出来ますが、
時間が限られている場合は、行きたい場所をピックアップして、
どの門から向かうか準備しておいた方が良さそうです。
私はひとまず、ヴィクトリア・ゲートから一番近いメインの温室、
パーム・ハウスに向かいました。
13:00
ゲートから北に向かう道。
途中でひときわ大きな樹を発見。
よく見ると、巨大な松ぼっくりがぶら下がってる!!
こんなに大きな松ぼっくり見たことないかも!! 落ちてきたら怪我しそう(笑)。
パームハウスの近くには、日本語の立て札のある幹がありました。
日本から送られた八重桜だそう。
植物園には、1980年(昭和55年)に日本花の会から贈られた松前系[注 1]の八重桜53本が植樹されている[1]。また1993年(平成5年)には、多くの松前系の八重桜を生み出した浅利政俊から58品種の桜がウィンザー大公園と共に贈られて植樹され、このうち56品種が活着している。そしてキューガーデンやウィンザー大公園が起点となって、これらの桜がイギリス各地に広まっている。これらの品種のうちベニユタカ(紅豊)やリュウウンインベニヤエザクラ(龍雲院紅八重桜)など19品種は王立園芸協会のガーデン・メリット賞に選ばれている[2][3]。
ここから全国に桜が広がっているということは、
今までロンドンの街角で見た桜はここから巣立っていったものかもしれませんね!
13:15
そしてパーム・ハウスに到着。
名前の通り、ヤシの木や熱帯植物が展示されています。
デシマス・バートンが設計し、エンジニアのリチャード・ターナーによって
1944年から1948年に建てられたこの温室。
ひっくり返った船のように見えるのは、
それまでここまで大きな温室が作られたことがなかったために、
造船の技術を取り入れているためだそうです。
見た目の美しさだけが理由じゃなかったんですねー。
昔は、中の植物を守るために緑色のガラスで覆われていたそうなのですが、
逆に植物に悪影響を与えてしまったために、現在のガラスに替えられたそうな。
使われているガラスは約16,000枚!
写真だけではわからないかもしれませんが、温室だけに外は寒くても中は暑い!
メガネが曇る! 肺の奥まで熱帯の湿った空気が入り込む感じ。
風邪で弱り切ったこの体を癒すために、この中に住んでしまいたい!
パーム・ハウスは螺旋階段を使って2階に上ることも出来ます。
植物を上から見られるのも楽しいですが、美しい曲線を描いた温室の天井も見所。
名残惜しくも外に出ると、南側に泉が広がっています。
限られた時間の中で、次はどこに行こうか…。
近くにもう一つ温室があるので(暖まりに)そこに向かいましょう。
すると途中で五重塔を発見。
後で近くまで行ってみよう。
13:40
そしてパーム・ハウスの西側にあるテンペレート・ハウスへ。
テンペレート(温暖な)・ハウスもデシマス・バートンによる設計で1862〜1899年に建てられていますが、実はパーム・ハウスより2倍広い面積。
当初は霜に弱い植物のための温室でしたが、改修を経て現在は世界の温帯地域の植物を1,500種、1万本以上の個体を育てています。中には絶滅危惧種リストに入っているものも。
パーム・ハウスは大きな熱帯植物の存在が目立ちましたが、こちらは草花の展示が目を引きました。鮮やかでかわいい花々にたくさん出会えます。
この温室では有機栽培にこだわって農薬を使わずに有益な虫や菌も取り入れているとか。さすがガーデニング大国ですね。
冬はボイラーで10度以上になるように温風を吹き込み、夏は窓を開けて温度を自動調節するそうな。
涼やかな滝を見ていると冬であることを忘れそうです。
14:00
次は、途中で見かけた塔へ向かいました。
五重塔じゃなくて十重塔でしたね。グレート・パゴタ(仏塔)です。
このパゴタは、プリンセス・オーガスタへの贈り物として、1762年に東アジアを旅して建築物を研究していたウィリアム・チェンバース卿が設計。
普段は塔を登ってロンドンの風景を眺めることも出来るそうなのですが、
この日は冬季で閉鎖中。やっぱり春に出直さないとダメだなー。
中に入るためにはキュー・ガーデンズの入園料と別にパゴタのための入場料が必要らしいですよ。
14:25
パゴタを後にして北へ歩き、ジョージ3世の王妃シャーロットのコテージへと向かいました。時刻を見てもらうとわかる通り、パゴタからシャーロット王妃のコテージまで徒歩約30分。地図で見てもちょっと分かり難い場所にあります。
ひっそりと建つコテージは王妃が静かに過ごすにはピッタリだったでしょうね。
で、お察しの通り冬季は閉鎖中。怖いくらいに周りに誰もいない。
春になると、周りはブルーベルの花畑になるみたい。ここも春に出直すことになります。たどり着くのに苦労しただけにさすがにがっかり。
14:35
思いついたまま冬にきてしまったことを後悔しながら肩を落として歩いていると、
道の真ん中を孔雀が優雅に歩いていました。
すぐそばで孔雀を見られる機会なんてあまりないので写真を撮っていると、
近くにいたスタッフが声をかけてきました。
(黙って写真撮ってたから怒られるのかな…)
と思ってビクビクしていたら、
「餌あげたい?」
とマカデミアのようなナッツを手渡してくれました。さらに、
「写真撮ってあげようか?」と手を差し伸べてきた。
怒られると思ったら、むしろ写真大歓迎でした(笑)。
そしてこれが、スタッフのおじさんがスマホで撮ってくれた、餌をあげる私。
施設の閉鎖が多い冬のキュー・ガーデンズでも、いい思い出ができちゃった!
#Throwback #Video
— ミウモ 𝕄𝕖𝕨𝕞𝕠 (@notfspurejam) 2021年5月7日
At Kew Gardens, #London, #UnitedKingdom
14:34, 30/12/2018 #Peacock pic.twitter.com/tb3VEDOfxl
14:40
パゴタの方まで戻ってくると、日本庭園を見つけました。
このエリアはアジアがテーマなのかもしれませんね。
枯山水はどんな季節に見ても心が落ち着きます。
キューのサイトでは「大阪大学の福原教授によるデザイン」と書かれていて、
「福原教授って誰だよ(フルネームじゃないんかい!)」と突っ込んでいたのですが、
正しくは「大阪芸術大学の福原成雄教授」が正解みたい。
この庭だけでなく、福原教授はチェルシー・フラワーショーで日本人初の金賞を受賞してるんですね。すごい!
上の写真の説明書きには、日本語でこのように書かれています。
この庭園は勅使門を中心にした回遊式の枯山水庭園であり、勅使門と合わせて日本の桃山時代の庭園様式に基づいて作庭されたもので、1995年8月に着手し、1996年10月に竣工した。
入口部の露地は「静寂」をテーマに、灯篭と蹲が置かれた中を延段や、飛び石を歩きながら心を静める場であり、石畳の広場は勅使門を正面にして力強い広がりのある空間を作っている。勅使門の南面にある枯山水は「躍動」をテーマに石組みで滝・山岳・島・海洋の雄大な自然風景を表現している。
枯山水は、実際には水を用いることはないが、あたかも水が落ち、流れ、満々と湛えた様子を石や砂で表現したものである。
勅使門は天皇もしくは天皇の勅使のみが通ることの出来る門のこと。
今まで外国で見てきた、日本語で書かれている説明書きの中で一番自然な文体で書かれてます。ここも福原教授が書いたのかな。
15:00
閉園時間まで残り30分。
だんだん暗くなってきて、イルミネーションも点灯しはじめます。
ヴィクトリアゲート近くまで戻り、パーム・ハウスに近い場プリンセス・オブ・ウェールズの温室にたどり着きました。
故ダイアナ妃によって1982年に建てられた温室で、サボテンや睡蓮が展示されています。
が! 閉園30分前で早々に追い出されてしまいました。時間が足りなすぎる!
冬は日が短いから余計に1日があっという間に過ぎてしまう。
温室以外は寂しい景色だし。
15:10
帰り道で別の針葉樹を発見。
Monkey Puzzle、日本語だと塵松(チリマツ)と言って、
チリやアルゼンチンにだけ生息し1000年近く生きる、古代から存在する植物らしい。
葉の先に立派な実が付いています。
15:20
購入したチケットは日中のものでしたが、
帰りがてら夜のイルミネーションの雰囲気は少し味わえました。
やっぱり冬は外の草花は楽しめないし、こういう来場者が楽しめる工夫が必要ですよね。
寒い冬でも入場している人はたくさんいるし、長期でロンドンにいる人は、冬に温室の熱帯植物をじっくり観察して、春は外の草花を堪能するといった感じで、季節に合わせた楽しみ方をするのがいいかもしれません。
この日はヴィクトリア・ゲート周辺と、西側だけ見て回りましたが、
4月に再度見られなかった場所を見に行きました。
春の景色が楽しめたので、将来の投稿をお楽しみに…。
昨日は思い立ってキューガーデンに行ってきました。「英国万歳!」にも出てくる小さな宮殿やジョージ3世が王妃に贈ったコテージがあるのです。でも冬の間はお休み中。春以降にまた行きたい!
— ミウモ 𝕄𝕖𝕨𝕞𝕠 (@notfspurejam) 2018年12月31日
コテージの周りはブルーベルの咲く草むらもありました。 https://t.co/l3sphJd0wM
屋外のキューガーデンはもちろん春以降に行った方が楽しめるだろうけど、冬の温室は他の季節よりありがたみがあるよ。温かいから!
— ミウモ 𝕄𝕖𝕨𝕞𝕠 (@notfspurejam) 2018年12月31日
ライトアップイベントもあるから夜に行くのもいいかもしれません。
駅の周りも可愛らしい店が多くて到着した直後からワクワクしてきます。 pic.twitter.com/99Snf2QLVF
次回は大晦日のケント州とロンドンです。