ミウモのロンドン留学体験記

2018年9月からUK渡航。チャレンジに遅すぎるなんてことはない!がモットーの女30代による留学準備&体験記

【2019年1月5日】ブレナム宮殿〜記念碑と静寂の湖と香水と【その2】

ブレナム宮殿、続き。

notfspurejam.hatenablog.com

 

⬇︎宮殿周辺の地図はこちらから見られます⬇︎
https://www.blenheimpalace.com/assets/files/downloads/uk.pdf

 

14:50

内部を見終わった後は、まず外のテラスへ向かいます。
このテラスは9代目公爵がフランスの造園家アシル・デュシェーヌの力を借りて1925年から1931年にかけて造られたそうです。
ということは、宮殿が造られた当時は庭はそこまで整備されてなかったってことかー。

f:id:notfspurejam:20210616172624j:plain

アッパーテラスから見た宮殿

f:id:notfspurejam:20210616172619j:plain

1929年から1931年に作られたプール。普段は10代目の時代に作られた噴水も出ます

プールの水は「ロザムンドの井戸」から取られているそうです。ロザムンドとは、ヘンリー2世の愛人であったロザムンド・クリフォードのこと。
プールの四方はヴィーナス像に囲まれています。

 

階段を降りて下のローワーテラスに降りると、別のプールがあり、ジャン・ロレンツォ・ベルニーニの工房で作られ、スペイン大使から初代公爵に送られた中心のオベリスクは、ローマのナヴォーナ広場にある「四大河の噴水」を大理石で3分の1に縮小したものだそう。ドナウ川ナイル川、プラタ川、ガンジス川の神々が装飾されています。

f:id:notfspurejam:20210616172635j:plain

写真では片方ずつしか写っていませんが、左右対称に2つオベリスクがあって、左側のもう1つはやはり9代目公爵の時代に複製されて現在のように設置されたそうです。

左右対称というと、ローワーテラスで特に気になるのは、階段を降りてすぐに目に止まるスフィンクスの像。

f:id:notfspurejam:20210616172652j:plain

ヘンリー・ウォード・ウィリスによるスフィンクス

このスフィンクスの顔は、9代目公爵の2番目の妻グラディス・ディーコンがモデルになっているとか。

f:id:notfspurejam:20210612160832j:plain
f:id:notfspurejam:20210612160838j:plain
f:id:notfspurejam:20210612160844j:plain
噴水(左)、反対側のスフィンクス(中)と男性の像(右)
f:id:notfspurejam:20210616172648j:plain
f:id:notfspurejam:20210616172658j:plain
画像だと見えにくいですが、アッパーテラスを支えるJules Visseaux作のカリアティード(女性像)

15:10

次は、宮殿からテラスに向かって左側から、サウスローン(南側の芝生) を通って庭を歩くことにしました。
宮殿の地図でいうと、"Formal Gardens"というコースを歩きます。

f:id:notfspurejam:20210612160648j:plain

サウスローンから見た宮殿のパノラマ

f:id:notfspurejam:20210616172731j:plain

宮殿の裏側にある、初代公爵のライバルだったルイ14世の胸像
(戦争中に盗んできたものらしい)

途中、ひときわ目を引く巨大な木を発見!

f:id:notfspurejam:20210616172736j:plain

下から眺める人との、この大きさの差!
f:id:notfspurejam:20210612160653j:plain
f:id:notfspurejam:20210612160659j:plain
中はこんな感じ

15:20

ブレナム宮殿は1950年4月に一般公開するようになったそうなのですが、10代目公爵が、もっと来場客が庭を楽しめるようにと、「プライベート・ガーデン」として庭の手入れを始め、10代目の死後は一時荒廃してしまったそうですが、11代目が再整備し、妹の手で2004年に一般公開されたそうです。割と最近ですね。

f:id:notfspurejam:20210612160723j:plain

f:id:notfspurejam:20210612160729j:plain
f:id:notfspurejam:20210612160716j:plain

私が訪れたのは冬なので、画像の見栄えはあまり良くないですが、暖かい季節は素敵な花が咲くんでしょうね。

 

15:30

そして"The Temple of Health"
これは1789年に4代目公爵がジョージ3世が病気から回復したことを祝って、建築家のジョン・イェンに建築依頼をした神殿。
こんなところでジョージ3世に関わるものと出会えるとは!

f:id:notfspurejam:20210612160740j:plain

ジョージ3世の回復を神に感謝し大理石のメダルを奉納することがラテン語で描かれている

 

庭には3か所神殿があり、もう1箇所 "The Temple of Flora"は見に行く時間がなかったのですが(どこにあるのかわからなかった…)、もう一つの"The Temple of Diana"は近くにありました。

狩猟の女神ダイアナに捧げられたこの神殿は1773年に4代目公爵の主催により、英国の建築家ウィリアム・チェンバーズによって建てられました。"The Temple of Flora"もチェンバーズの設計だそうです。

f:id:notfspurejam:20210616172703j:plain
f:id:notfspurejam:20210616172713j:plain
縁のあるダイアナ元妃の神殿なのかと思ってた

中央の楕円のメダリオンの中にはダイアナに花を捧げるヒッポリュトス、
両側のメダリオンには、エウリピデスの詩が書かれています。
詩が書いてあるのは4代目公爵の家庭教師だった考古学者ジェイコブ・ブライアントが選んだのではないかとのこと。

"The Temple of Diana"は、"Churchill Memorial Garden"の中にあります。

ブレナム宮殿が生家のチャーチルは、1908年8月11日にこの"The Temple of Diana"の前で妻となるクレメンタインに、雨宿りの最中にプロポーズしたらしい。
ロマンチックだけど、狩猟の女神の前での求婚… 
なんだかはじめから狙ってたんじゃないですかね?

この庭には大きなチャーチルの胸像も立っています。

f:id:notfspurejam:20210616172727j:plain

すごい迫力…

f:id:notfspurejam:20210616172722j:plain

 

 

15:40

テラスに戻ってきました。

f:id:notfspurejam:20210612160754j:plain

もう一度、階段の下に降りて宮殿を囲う池「グレートレイク」を眺めました。

f:id:notfspurejam:20210616172755j:plain

下手に小さなボートハウス。

とても静か。聞こえてくるのは、鳥のはばたく音だけ…。

9代目の公爵は静けさを好み、当時はテラスに噴水も作らなかったそうですが、
この場所に立ってみるとその気持ちがよくわかります。
ロンドンやその他の英国の観光地では出会えない静寂。
心の隅々までその静けさが沁み渡っていくような気分です。

f:id:notfspurejam:20210616172808j:plain

しばらくは、ただひたすらこの景色を満足するまで眺めていました。

 

 

16:00

宮殿の正面、グレート・コートに戻ってきました。

f:id:notfspurejam:20210612160850j:plain

馬小屋の前に看板が出ていたので、中の様子を覗いてみると、
お子様向けに王子様&お姫様になって写真撮影出来るスペースになっていました。

f:id:notfspurejam:20210612160900j:plain
f:id:notfspurejam:20210612160906j:plain
馬のいるスペースが着替えスペースになってます
f:id:notfspurejam:20210612160913j:plain
f:id:notfspurejam:20210612160920j:plain

 16:10

最後に宮殿の北側にある記念碑 "The Column of Victory" まで歩いてみることにしました。初代公爵の死後、夫人のサラが夫を称えるために英国の建築家ロジャー・モリスとハーバート卿(どのハーバート卿なのか不明…)に依頼し、公爵の死後9年後の1730年に完成しています。

f:id:notfspurejam:20210616172825j:plain

見ての通り、宮殿からだいぶ遠くにあります

向かって左側は先ほど見たグレート・レイク。右側はクイーン・プール。

f:id:notfspurejam:20210616172821j:plain

英国の建築家ジョン・ヴァンブラによるグレート・ブリッジ。
テラスのファサードや正門、先ほど見た宮殿裏側のペディメントもヴァンブラの作品

f:id:notfspurejam:20210616173132j:plain

やはり静かな湖面が心を落ち着かせてくれます。

しばらく歩いてから振り返ると、記念碑が高い丘の上に立っていることがわかります。

f:id:notfspurejam:20210612160954j:plain

宮殿がずいぶん遠くに見える

f:id:notfspurejam:20210616172834j:plain

16:20

柱のてっぺんの像が見えてきました。
像はもちろん初代公爵がモデルですが、ローマの将軍の格好で、足元には鷹、
手には勝利の翼を持っています。

f:id:notfspurejam:20210616172844j:plain
f:id:notfspurejam:20210616172848j:plain
鷹の姿も見えますね!

16:25

そして、やっと足元まで到着!
高さ41メートル(134フィート)なので、ここまでくると、逆にてっぺんの像の全体が見えにくくなってしまいました。

f:id:notfspurejam:20210612160959j:plain

高すぎてフレームにおさめるのが難しい!

柱の四角い土台には4面それぞれに碑文が刻まれていて、1面には初代公爵の戦いの詳細を記した墓碑銘、残りは公爵の子孫に領地を与える議会法の抜粋が刻まれています。

f:id:notfspurejam:20210616172902j:plain

でも、歩き疲れてとても隅々に目を凝らす気力が残っていない…。
ここまで歩いてくるのは大変だった…。時間はそれほど経ってないけど、
坂道だったせいでしょうか。

f:id:notfspurejam:20210616172911j:plain

橋のところは低くなっていて、記念碑のところまでくると宮殿の高さまで戻っている

歩いているうちにだいぶ暗くなってきたので、羊の姿を眺めながら、元来た道を戻ります。

f:id:notfspurejam:20210616172920j:plain

記念碑の周辺は、羊が逃げないように柵で囲われています。

f:id:notfspurejam:20210616172929j:plain

 16:45

宮殿に戻りました。すっかり暗くなってイルミーネーションも点灯。

f:id:notfspurejam:20210616172938j:plain

f:id:notfspurejam:20210616173000j:plain

パノラマで撮影

16:50

最後に残された時間でギフトショップを見ていきました。

f:id:notfspurejam:20210612161643j:plain

夜のチケット売り場前
f:id:notfspurejam:20210612161652j:plain
f:id:notfspurejam:20210612161657j:plain
絵葉書や食器類

f:id:notfspurejam:20210612161647j:plain

家庭用品も充実してる

ギフトショップにはペンハリガンの香水コーナーもありました。
そこで思い出した香水ブレナム・ブーケの存在。

探したら、このコーナーにちゃんと「ブレナム・ブーケ」がありました!

f:id:notfspurejam:20210612161702j:plain
f:id:notfspurejam:20210612161706j:plain
これが「ブレナム・ブーケ」!

正確にはブレナム宮殿をイメージして1902年に作られた香水なので、9代目公爵あたりが依頼したのかもしれないですね。テラスの件といい、9代目は宮殿のイメージ作りに奮闘してたんですねー。
チャーチルもこの香水を愛用していたそうです。
試してみると、確かに男性向けっぽい爽やかなシトラスの香り。
男性のコロンのようなキツいものではなく、スッキリとした匂いです。

ペンハリガンのお店はロンドンにもありますが、せっかくブレナム宮殿に来た記念に、
このギフトショップで購入することにしました!

お値段は£75。いつも安い香水ばっかり買ってるからかなり悩みましたが(笑)、
これほど自分へのお土産にふさわしいものはありませんからね!!

 

www.penhaligons.com

www.takashimaya.co.jp

 

f:id:notfspurejam:20210612161711j:plain
f:id:notfspurejam:20210612161715j:plain
女性向けのアルテミジア(左)や
当時発売されたばかりの「ヒドゥン・ロンドン」シリーズ(右)も気になった

17:30

香水と絵葉書を買って、やっと宮殿を出ました。
めちゃくちゃ時間掛かってしまった…。

f:id:notfspurejam:20210612161720j:plain
f:id:notfspurejam:20210612162425j:plain
f:id:notfspurejam:20210612162430j:plain
閉館間際のお土産売り場と正面玄関(左・中)
夜のウッドストック

来た時に入ったメインエントランスに向かいましたが、門が閉まっていて…

売店の女の子と一緒に宮殿の正面入口まで戻って、街のあるウッドストック側の門に連れて行ってもらい、係の男性が来て、門を開けてくれました。

そこからウッドストックの街の中のバス停に案内してもらったのですが、私は助けてもらったのが嬉しくて、(珍しく)英語の勉強をしにロンドンで滞在してて…とか自分の話をペラペラ話してたのですが、バスに乗った後はそっけなく彼女が降りて行ってしまったので、親切心に喜んで盛り上がったちょっと恥ずかしかったです。

だいたい暗くなったんだから早く帰れよお前!って話ですよね。 

 

f:id:notfspurejam:20210612162444j:plain
f:id:notfspurejam:20210612162451j:plain
f:id:notfspurejam:20210612162456j:plain
夜のオックスフォード

売店の子のおかげで無事オックスフォードまでたどり着き、
ロンドン行きの列車に乗ります。

f:id:notfspurejam:20210612162555j:plain
f:id:notfspurejam:20210612162500j:plain
今回のイベントのポスター(左) お世話になった500番バス(右)

18:55

オックスフォード駅を出発。

f:id:notfspurejam:20210612162601j:plain

 

19:55

パディントン到着。
帰りは暗いから車窓の景色も楽しめずつまらん!

f:id:notfspurejam:20210612162606j:plain

f:id:notfspurejam:20210612163248j:plain

f:id:notfspurejam:20210612163252j:plain

当時駅に掲示してあったテロ防止キャンペーン"See it. Say it. Sorted."のポスター

帰りにパディントンの駅にあるパディントンベアのグッズ売り場をちょっと覗きました。 

f:id:notfspurejam:20210612163257j:plain

売り場の中のパディントン

遅かったし、疲れてたのでゆっくり見られなかったけれど、ちょっと癒された。

f:id:notfspurejam:20210612163303j:plain



そんなわけで、たっぷりブレナム宮殿を堪能した一日でした。

宮殿の中を見学する経験は何度かありましたが、ただ見学するだけじゃなくてテーマに沿った装飾がされた宮殿を巡るのは初めてだったので本当に楽しかったです。

しかもシンデレラのような童話がテーマだと、名所に来ているというより、絵本の中に入り込むような気分で、忘れられない体験になりました。

そして、テラスから望む湖の静けさ。
あの心が澄んでいくような感覚も、時間が経った今でも鮮明に思い出せます。

思い出深い訪問場所の一つになりました。

 

次回は、港町ウィスタブルを歩きます。