ミウモのロンドン留学体験記

2018年9月からUK渡航。チャレンジに遅すぎるなんてことはない!がモットーの女30代による留学準備&体験記

【2019年4月13日】ハウスメイト、蜘蛛に刺される?の巻

ロンドンにいる蜘蛛に噛まれたら危ないのか? もし病院もやっていない時間、友達が蜘蛛に刺されて痛いと言ったら、あなたならどうする?

(結論だけ知りたい方は、最後までスクロールしてください。)

 

ミュージカルを見に行って帰宅後、興奮状態のまま眠れなかったある夜、ベッドの上でウトウトしかかっていた時に、部屋のドアをノックする音が聞こえました。

(こんな時間に誰だろ…ホストマザーかな?)

のっそりと起き上がって扉を開けると、そこに不安げな表情のハウスメイトが立っていました。彼女はフランスから来ていて隣の部屋を借りています。

「夜中にごめんなさい 。実はベッドに蜘蛛がいて、どうしたらいいかわからなくて…」

(蜘蛛?この家に蜘蛛なんて出るのか…。)

自分の部屋で蜘蛛を見たことがなかったのでピンとこなかった私は、彼女の不安そうな顔を見て、何かしてあげねばならないということはすぐに分かりました。知らない家に泊まっている十代の女の子が、突然現れた虫を怖がるのも無理はありません。

それに初対面の時に「何かあったらなんでも言ってね」と声をかけてあげていたのを思い出したんです。

「それに腕を刺されたみたいで、なんだか痛くて…」

私が隣の部屋に入ると、彼女はパジャマの袖を捲って、自分の腕を見せました。

確かに、二の腕のあたりに蚊が刺したような膨らみがあり、その後に掻いたせいか、その周りが赤くなっています。

「大丈夫だよ。蜘蛛って前に見たことない?」

「ない、ああいうのは」

「どんな蜘蛛?大きかった?」

「まだベッドにいると思う…」

そう言いながら布団をめくると、確かにそこに茶色い小さな蜘蛛の姿がありました。決して大きくはなく、でも東京ではあまり見たことが見たことのない種類。私は自分の部屋にメガネを取りに行って、近くにあった新聞紙も持って戻りました。

普段なら蜘蛛はキャッチ&リリースする派ですが、この時はハウスメイトの不安を打ち消すためにも殺さなければならない!と思ったのです。

私は新聞紙を丸め、「殺せるかやってみる…」と蜘蛛めがけて攻撃!

ところがその瞬間、蜘蛛は姿を消し、ベッドや床を探しても死骸は見つかりませんでした。

逃してしまったことでハウスメイトはなおさら不安に。

「…死んでるよね、きっと?」

「だと思うよ。これだけ探してもいないからすぐにまた出てくることはないよ」

「なんだか腕全体が痛くなってきた…」

「え、全体が?噛まれたところじゃなくて?」

「うん、噛まれたところから下の方が全部痛い…」

ハウスメイトは再度、私に腕を見せてくれたのですが、見たところ、色や膨らみなどの状態は変わっていません。

(もしかしてイギリスには噛まれたら危険な蜘蛛もいるのか?)

そこまで不安そうに痛いと言われると、私もどんどん不安になってきました。

「あの蜘蛛、(指で小さい輪を作って)茶色くてこの位の大きさだったよね?」

「うん。足は長くないけど、太くてしっかりしてた」

「ちょっとググってくるわ」

自分の部屋に戻ってスマホで「イギリス 蜘蛛 噛まれた」で検索すると、「蜘蛛によっては噛まれたら腕を切断することも」なんて怖いワードが出てきたり。でも、私たちが見た、茶色い小さい蜘蛛はネット上ではすぐに見つかりませんでした。

「このままだと危ないと思う?」

今にも泣きそうなハウスメイトに聞かれた私は迷いました。腕全体が痛いと言う症状は無視できません。

もし、私が問題ないから寝よう!と言って、放置して後で大問題になったら…?

本当にイギリスには危険な蜘蛛がいて、彼女がそれに噛まれたんだとしたら…?

時間は午前3時。私たちはホストマザーを起こしたくはありませんでしたが、私一人では決断を下したくはありませんでした。それに、ホストマザーの方がこういう相談に慣れていると思ったのです。私は自分のスマホで電話をかけて事情を説明し、眠っていたホストマザーに降りてきてもらいました。

「そうねえ…この時間では病院もやっていないし。何か軟膏は持っていないの?」

誰も軟膏は持っていなかったので、ホストマザーは抗アレルギー剤を持ってきてハウスメイトに手渡し、

「とりあえずこれを飲んでみて。効くかどうかわからないけど…。明日薬局が空いたら何か買ってきてあげるわ」

そして私たちはお礼をいい、それぞれの部屋でやっと就寝しました。

■■

いい大人の私は、彼女に朝まで我慢していいというべきだったのか?わざわざホストマザーを起こす必要はなかったんじゃないだろうか…と後になってモヤモヤと悩み始めていました。年下に頼られた時にすぐに決断を下せないなんて…。

後日、言語交換で会っているイギリス人の友人にこの話をしたところ、

「なんだ、深夜に隣部屋の子が相談に来て…っていうから誰かに襲われたのかと思ったよ!」と笑われた後、

「イギリスの蜘蛛はまず安全だよ。それにその噛まれたっていうのは本当に蜘蛛だったのかな? 別の虫だったんじゃない? もし噛まれるとしたら、殺そうとした君の方じゃないかな?」

確かに。それに彼女は蜘蛛に腕を刺された瞬間を見たとは言っていませんでした。

「まあ朝まで待つよう言うのが正しかったろうね。でも深夜に君を煩わせたのは彼女の方なんだから!」 

■■■

しばらく経った朝、朝食を食べている彼女とキッチンで会い、その後どうなったか訊いたところ、もう大丈夫のようでした。

彼女に「あの後、いろんな友達に聞いたんだけど、ロンドンの蜘蛛は危なくないって!」と報告すると、

「うん、私もいろんな人に言われた…」

と恥ずかしそうにしていました。

留学しているとこんなこともあるんだなと、勉強になった次第です。

 

結論:蜘蛛に噛まれた!と思っても慌てないで。薬局や病院が空くのを待ちましょう。

 

【2019/5/7 4:09:33 投稿】